注意すべき広告

最近、歯科の広告が多く見られます。

歯科の場合、自費(自由診療:インプラント・矯正など)に関してのものが多いようです。

医療広告は医療法で厳密に規定されており、違法なものが見かけられます。

歯科医師会や学会でこれらについては周知するよう講習が行われていますが、

すべてが歯科医師会や学会加入の医院ではありませんし、個人の考えにより広告されているのが現状です。

以下に参考の資料を提示しておきます。


「『医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)』」について(平成19 年3 月30 日付医政発第0330014 号) (一部抜粋)

●診療科名について

●医療機関が標榜する診療科名として広告可能な通常考えられる診療科名

〇「歯科」「小児歯科」「矯正歯科」「歯科口腔外科」

●複数の事項を組み合わせた通常考えられる診療科名

〇「小児矯正歯科」など

●法令に根拠のない名称については、診療科名として広告することは認められない。

× 「インプラント科」、「審美歯科」など

(1)× 広告が可能とされていない事項の広告

× (例)専門外来

→専門外来、専門医療機関については、広告が可能な診療科名と誤認を与える事項であり、広告可能

な事項ではない。

× (例)著名人も当院で治療を受けております。

→優良誤認(他の医療機関より著しく優れているとの誤認)を与えるおそれがあり、芸

能人等が受診している旨は、事実であっても、広告可能な事項ではない。

(2)× 内容が虚偽にわたる広告 (虚偽広告)

(3)× 他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告 (比較広告)

× (例)インプラントの手術数では、日本有数の実績を有する診療所です。

× (例)当院は県内一の医師数を誇ります。

× (例)本グループは全国に展開し、最高の医療を広く国民に提供しております。

(4)× 誇大な広告 (誇大広告)

(5)× 客観的事実であることを証明することができない内容の広告

× (例)患者の体験談の紹介

→患者の体験談の記述内容が、広告が可能な範囲であっても、患者の主観であり、広

告は認められない。

× (例)理想的な医療提供環境です。

→「理想的」であるかは、客観的な証明はできないことから、広告は認められない。

× (例)比較的安全な手術です。

→何と比較して安全であるか不明であり、客観的な事実と証明できない事項に当たる。

(6)× 公序良俗に反する内容の広告

(7)その他

品位を損ねる内容の広告、他法令又は他法令に関連する広告ガイドラインで禁止される内

容の広告は、医療に関する広告として適切ではなく、厳に慎むべきものであること。

× 品位を損ねる内容の広告

①費用を強調した広告: (例) 今なら○円でキャンペーン実施中!

②ふざけたもの、ドタバタ的な表現による広告


「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針」(医療広告ガイドライン)に関するQ&A(一部抜粋)

Q2-4 歯科用インプラントによる治療については、広告可能でしょうか。

A2-4「自由診療のうち薬事法の承認又は認証を得た医療機器を用いる検査、手術、その他の治療の方法」として、我が国の薬事法上の医療機器として承認されたインプラントを使用する治療の場合には、公的医療保険が適用されない旨と治療に掛かる標準的な費用が併記されていれば、広告可能です。なお、歯科医師の個人輸入により入手したインプラントによる治療については、広告できません。

Q2-14 医療従事者の略歴として、学会の役員又は会員である旨は広告可能でしょうか。

A2-14 略歴として記載する事項は、社会的な評価を受けている客観的事実であってその正否について容易に確認できるものであることが必要です。例えば、地域医師会等での役職、学会の役員である旨については、現任であれば広告は可能ですが、当該法人又は当該学会のホームページ上等でその活動内容や役員名簿が公開されていることが必要です。また、学会の役員ではなく、単に会員である旨は、原則として広告できません。なお、略歴とは、特定の経歴を特に強調するものではなく、一連の履歴を総合的に記載したものになります。

Q2-16 特定の医師のキャリアとして、その医師が行った手術の件数を広告することは可能でしょうか。

A2-16 医師個人が行った手術の件数については広告することができません。なお、当該医療機関で行われた手術の件数については、広告ガイドラインで示した範囲で広告することが可能です。

Q2-17 医師等の専門性に関する資格名については、どのようなものを広告することができるのでしょうか。

A2-17 「広告可能な医師等の専門性に関する資格名等について」(平成19 年6 月18 日医政総発第0618001 号医政局総務課長通知)において広告が可能となっている資格名等について広告可能です。なお、広告に当たっては、「医師○○○○ (××学会認定××専門医)」のように、認定団体の名称を資格名とともに示す必要があります。また、専門性の資格については、各関係学術団体により認定されるものですので、例えば、「厚生労働省認定○○専門医」等の標記は虚偽広告や、単に「○○専門医」との標記は誤解を与えるものとして誇大広告に該当するため、広告できません。

Q2-19 治療の前後のイラストや写真を掲載することは可能でしょうか。

A2-19 治療の効果に関する表現に該当するため広告できません。治療効果については、個々の患者の状態等により当然にその結果は異なるものであり、効果について誤認を与えるおそれがあることから、広告することはできません。なお、治療結果の分析を行っている旨及び当該分析の結果を提供している旨については、広告をすることが可能です。また、患者等からの申し出に応じて、死亡率や術後生存率等の治療結果成績を説明することは、差し支えありません。

Q2-23 医療機関の名称に併せて、「○○センター」と広告することは可能でしょうか。

A2-23 「○○センター」と広告することについては、法令の規定又は国の定める事業を実施する病院又は診療所であるものとして、救急救命センター、休日夜間急患センター、総合周産期母子医療センター等、一定の医療を担う医療機関である場合又は当該医療機関が当該診療について、地域における中核的な機能、役割を担っていると都道府県等が認める場合に限り、その旨を広告することが可能です。

Q3-1 「最新の治療法」や「最新の医療機器」といったような「最新」という表現は、広告が禁止されるのでしょうか。

A3-1 「最新の治療法」や「最新の医療機器」であることが、医学的、社会的な常識の範囲で、事実と認められるものであれば、必ずしも禁止される表現ではありません。登場してから何年までを最新と認めるか等の基準を示すことは困難ですが、より新しい治療法や医療機器が定着したと認められる時点においても、「最新」との表現を使用することは、虚偽広告や誇大広告に該当するおそれがあります。また、より新しい治療法や医療機器が存在しない場合でも、十数年前のものである場合等、常識的な判断から「最新」との表現が不適切な場合があり、誇大広告等に該当するおそれがあります。

Q3-4 「無料相談」の広告は可能でしょうか。

A3-4 無料で健康相談を実施している旨についての広告は可能ですが、広告するに際し、費用を強調した広告は品位を損ねるもので、適切ではありません。